人生は短いからヌーンを飲まずにいられない
ヌーンは赤ワインのみを生産する家族経営の生産者。カルトワインという言葉が似合うワイナリーは、オーストラリアにわずかしかない。
オーストラリアでは、ワイナリーのセラードアでの試飲や直接販売が当たり前だが、ヌーンを訪問するのは難しい。数週間で売り切れて、閉まってしまうからだ。南オーストラリア州はもちろん、全土に熱狂的なファンが存在する。日本のショップをネットで見た現地のファンから「なぜ売っているのか」という問い合わせがあったほどだ。
ドリューとレーガンのヌーン夫妻はマクラーレン・ヴェールのワイナリーを引き継ぎ、1996年がデビュー・ヴィンテージとなる。1930〜1940年代のグルナッシュ、1960年代のシラーズ、1970年代のカベルネ・ソーヴィニヨンという古木ばかり。粘土・ローム質土壌に植え、濃厚で凝縮した、ギリシャ彫刻のように彫りの深いワインを生産している。
リザーヴ・カベルネ・ソーヴィニヨンとリザーヴ・シラーズも素晴らしいが、圧巻はフラッグシップのエクリプス。グルナッシュとシラーズをベースに、2008以降はカベルネ・ソーヴィニヨンとグラシアーノをブレンドしている。これによって、緊張感と複雑な味わいが増した。
ロバート・パーカーは常に90点以上のポイントを与えてきた。こんな名言をもらしている。
「人生は短いから、ドリューとレーガンの造るヌーンを飲まないわけにはいかない」